勉強なんて出来て当然、こんな単純なことが理解出来ないのは、最近の子供たちは本当にレベルが低くなったと大人は考えます。上司が部下を見下してみるのと、まったく同じ思考で彼らのことを見ています。
しかし、子供たちのほとんどは、そこに意味をみいだせば、必ず他のことにも意味を見出そうとする性質へと成長していくのです。子供たちが、すぐに口にする「面倒くさい」という言葉は、大人が手っ取り早く正解してくれれば良いと考えているから、目の前の子供も同じ思考になるのです。正解さえすれば良ければ、五十個のチョコレートを二人で分けるといくつになるか分からなくても、計算ドリルで筆算を書いて解ければ良いのです。
割り算を暗算で解くことに抵抗していた小学校四年の男の子は、筆算で解ければ問題ないと初めから決めているので、頑として桁の意味を知ろうとしませんでした。ドッツカード(私たちが桁の意味を知らせるために開発した特殊な点を集めたカード)でなんども、分ける意味を目で見せても、そこに思考を向けようとしないのです。
適当な答えを口で言って、確認してきたりします。私は、彼に「君は小学校六年まで、この割り算をやり続けるんだね。先生は、それでも構わないよ。ここを適当に進めば、どんどんわからなくなるから。あなたがやりたいと思うだけ付き合います。」といいました。
すると「先生、今日はあと何枚やるの」と真顔になったと思うと、今まで何度見せても反応しなかったカードを見ながら、今止まっていた一題に正解しました。その後は、真剣な顔で残りの問題に取り組みはじめました。
次のプリントを渡すと、今までよりも早いスピードで、解き始めたのです。
解きながら私に何度も、正解しているかどうか聞いてきます。私は、今解いている一題は正解しているよ。というと、そのまま残りのプリントをやっていました。
以前に宿題をやるのが嫌だと、泣いて怒っていましたが、最後に間違っているところに印をつけたものを渡して、自分で直してくるように言うと、「宿題か。絶対やってくる」と言って鞄の中にしまいました。
その日は、クリマスパーティーの締切りだったので、母さんが後で申し込みにいらっしゃいました。お母さんは、彼が「悔しい。今日絶対やる」と言っていたと笑って教えてくれました。
私が塾を始めた当初は、「学校でここが不正解でした。」と良くプリントを持ってこられるお母さんの対応に困ったものです。最近は逆に、そこで不正解になったことなど、何の問題もないと理解して下さるお母様がたに恵まれてきました。
基本に流れる法則を使わずに、目の前の正解だけを求める性質を、小さい時に無意識に性質として取り込んでしまうのは、伝える側が同じ精神だからです。私たちは何年も、私自身の中の教育者としてのあり方を、ぶれず同じ方向に向ける努力をし続けてきました。
嫌なことに徹底して向き合おうとする姿勢を子供たちに示すことが、私たち大人の役割なのです。
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