人に物事を伝えようとしたとき、伝える側と、伝えられた側とのイメージが共有できていることが、重要なポイントであることを知るべきです。お互いのイメージが統一されていないことに気づかず、伝える側は、相手も同じイメージを持っていると思い込んで、何度も説明し無駄な時間を使い、まったく理解を得られないことが良くあります。また、多くの人が伝えようとしていることに、明快なイメージを持っていない場合が、ほとんどです。
例えば、林檎をイメージしたとき、ほとんどの日本人は赤い林檎を想像します。しかしオーストラリアンの外人講師は、林檎には青い色をイメージしていました。人は、それまで育ってきた環境によって、物事に対する感じ方が異なって当然です。
長年、外人講師による英会話の授業を行ってきましたが、英会話レッスンにおいて、多くの矛盾を感じてきた中に、イメージの共有が難しいということがあります。限られたテキストの中でイメージを共有化するのが難しいのは勿論、日本人と外人講師との間でのイメージのずれが生じたまま、補うことが出来ないからです。
日本語は長い文章のなかでも、主語をはっきり書いていない文章がたくさんあります。古文においては、主語がほとんど書かれていません。「言っておられました」とか「拝見させていただきます」とか、「伺います」のように、主語を言わなくても、誰であるのか、状況をイメージできる言語なのです。日ごろ、会話のようで会話ではない単語だけでのやり取りが繰り返されている昨今では、大人も含め、多くの子供たちが敬語を上手に使えなくなっていることは想像できると思います。しかし「彼女」とか「彼」とか「彼ら」とかいう、人称代名詞の意味を分からない子がたくさんいるとは、なかなか想像しがたい事実です。
私たちが、英語を指導する際に困るのは、日本語を理解していないことによる弊害がかなり大きいのです。主格となる「私」「あなた」「彼ら」「彼」「彼女」という関係性のイメージが、湧いていないことが、英語を理解する上での障害になるとは、想像もつかないでしょう。近い距離感覚のある人間を指して「あなた」と「私」であり、「彼女」とか「彼」を使うことがないことを、口で説明しても理解できない子供たちがたくさんいました。
教室では、基本概念の核となるものについて、できる限り絵を使ってイメージの共有化を行っています。その中に「私」「あなた」「私たち」「あなたたち」「これ」「あれ」「彼ら」などのイメージ図もあります。そのイメージ図も見せつつ、講師と子どもたちとの関係性のイメージを伝えるように工夫した言葉がけが必要です。
私たち大人は、いかにいい加減に「言葉」を使っていることでしょう。その弊害は間違いなく、日本人を日本人たらしめない深刻な状況をもたらしているのです。
相手とイメージを共有化するためには、自分自身が明快なイメージを持って、相手にイメージが湧くような話法を工夫しなければなりません。
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